Kikuchi Associates

SNS経由のサイト送客率を17ヶ月で2.9倍に

語学・教育分野の会員制サービスのSNS運用を17ヶ月支援し、ストーリーズ経由の公式サイト送客率を2.0%から5.8%へ改善した事例。

概要

クライアント
語学・教育分野の会員制サービス運営企業
パートナー
Web制作会社「ななごー」様
支援期間
2024年9月〜2026年1月(17ヶ月)
チャネル
Instagram(フィード/ストーリーズ)、LinkedIn(支援期間中に新規開設)
主要KPI
ストーリーズ経由の公式サイト送客率
主要成果
送客率 2.0% → 5.8%(約2.9倍)
支援領域
ペルソナ策定/仮説立案/訴求メッセージ設計/ハッシュタグ設計/コンテンツ配分設計/ライティング/制作ディレクション/月次レポーティング

Web制作会社「ななごー」様のパートナーとして、語学・教育分野で会員制サービスを運営する企業様のSNSマーケティングを17ヶ月にわたり支援しました。ストーリーズ経由の公式サイト送客率は支援初月の2.0%から最終月の5.8%へ、約2.9倍に改善しています。

この事例の要点は、KPIをフォロワー数ではなく「投稿を見た人が公式サイトへ移動した率」に置き直したことです。フォロワー数はサービスの申込数に直結しないため、SNSが実際に担っている役割(認知の獲得から公式サイトへの送客まで)に合わせて指標を設計し直しました。

課題:SNSの反応が公式サイトへの流入につながっていなかった

クライアント様の事業課題は会員数の増加でした。ただしSNSは会員登録が完結する場ではありません。SNSが担うのは、認知の獲得から公式サイトへ送客するまでの区間です。

そこで、フォロワー数のような表面的な指標ではなく、「投稿を見た人が公式サイトへ移動した率」を実質的なKPIとして設計しました。

支援開始時点の状態は次の3点です。

  1. ストーリーズからサイトへの遷移率が2.0%だった。 投稿は見られているが、サイト訪問につながっていない状態でした。
  2. フィードの保存率が0.75%だった。 コンテンツが「後で読み返したい」と思われていない状態でした。
  3. ハッシュタグが投稿件数200万件規模のビッグワードに偏っていた。 露出が大量の投稿に埋もれていました。

アプローチ1:「何を学びたい人か」ではなく「何を叶えたい人か」から設計する

SNSマーケティングの訴求設計では、ターゲットを行動ではなく動機で定義します。この事例では、ターゲットを「20〜40代の女性。専門スキルはあるが、結婚・育児など生活環境の変化からフルタイム勤務が難しく、自分の強みを活かして働きたい層」と定義しました。

そのうえで、この層がサービスを通じて**実現したいこと(Gain)**と、**現状で抱えている不満(Pain)**をそれぞれ7分類に言語化しています。

  • Gain:時間の柔軟性/地理的な自由/収入のポテンシャル/キャリアの自由/独立性と自己成長/仕事の多様性/家庭との両立
  • Pain:働き方の制約/家庭との両立の困難/労働条件への不満/自己実現の欲求/将来への不安/職場での不平等/キャリアチェンジの希望

訴求の軸を「スキルの習得」から「場所にとらわれず働く」「キャリアの自由」へ置き換えたことが、この支援の起点です。効果は初期段階で確認できました。働く場所や生き方をテーマにした投稿がリーチ・保存数ともに上位を占め、支援2ヶ月目には保存率が0.75%から1.27%へ改善しています。

アプローチ2:訴求軸をハッシュタグ設計まで一貫させる

ハッシュタグは「露出が取れそうな言葉」ではなく「その言葉で検索する人が想定ユーザーと一致する言葉」を基準に選びます。

言語化したGain / Painをそのままハッシュタグ設計に落とし込み、候補キーワードの投稿件数を実測して選定基準を作りました。投稿件数200万件規模の大規模タグでは投稿が埋もれてしまうため、訴求軸と一致しつつ競合の少ない数万件規模の中規模キーワードへ再構成しています。

あわせて「閲覧に占めるフォロワー外比率」を新規リーチの管理指標として設定し、約2ヶ月で12.8%から29.1%へ改善させました。

アプローチ3:コンテンツ配分を月次で検証し、翌月に反映する

投稿を「入会メリット訴求」「仕事メリット訴求」「専門コラム」「お役立ち」「キャリア事例」「キャンペーン告知」の6分類に整理し、月ごとの配分を設計しました。

月次レポートでは月間の合計値だけでなく、投稿1本単位でリーチ・保存率・ウェブタップ率を分析し、翌月の配分に反映するサイクルを17ヶ月間回しています。実際に行った意思決定の例は次の通りです。

  • 「未経験・副業」訴求の比率を下げ、「仕事術」「キャリア事例」を増やす判断
  • キャリア事例が読者に自分ごと化されにくいと判断し、生活文脈に近いテーマへ寄せる修正
  • ストーリーズのCTA文言にバリエーションを持たせ、ウェブタップ率を底上げする施策
  • 編成が単調になった月を検知し、業界・職種情報を加えて多様化する判断

これらはすべて前月の実測値から導いた意思決定です。感覚ではなくデータで配分を決めたことが、17ヶ月間の継続的な改善につながりました。

アプローチ4:LinkedInをゼロから立ち上げ、職種単位で訴求を検証する

支援期間の途中でクライアント様の公式LinkedInページを新規開設し、以降9ヶ月間の運用を担当しました。

LinkedInはInstagramと読者層が異なるため、職種を単位とした訴求検証を設計しています。金融・法務・IT・貿易・広報・管理部門など、月ごとにターゲット職種を変えて投稿し、クリック率で反応の高い層を特定しました。その結果、特定の職種セグメントとビジネス系大学院出身者向けのコンテンツが高い反応を示すことを確認し、以降の訴求設計に反映しています。

成果

指標支援開始時最終月変化
ストーリーズ経由のサイト送客率2.0%5.8%約2.9倍
フィード保存率0.75%期間平均 1.94%期間平均で約2.6倍
フォロワー数17ヶ月で約1.2倍
1投稿あたりリーチ投稿本数を25%削減して維持
LinkedIn未開設運用9ヶ月ゼロから立ち上げ

送客率の改善が最大の成果です。 ストーリーズからサイトへの遷移率は支援初月の2.0%から、最終月には5.8%に達しました。同じ表示回数でも約2.9倍の訪問を生む状態になったことを意味します。支援前半5ヶ月の平均3.4%に対し、後半5ヶ月は平均4.9%と、17ヶ月を通じて右肩上がりに推移しています。

保存率は初月の0.75%から、期間平均1.94%へ改善しました。 支援開始直後の4ヶ月で0.75% → 1.27% → 1.78% → 2.05%と連続改善し、その後は月ごとの企画内容に応じて1.2〜3.7%のレンジで推移しています。保存は「後で読み返したい」という強い関心の表れであり、単なる表示回数よりも見込み顧客の質を示す指標です。

投稿本数を減らしながら、1投稿あたりのリーチを維持しました。 月間のフィード投稿本数は25%削減しましたが、1投稿あたりの平均リーチは初月と最終月でほぼ同水準を保っています。投稿量ではなくコンテンツ設計の精度で成果を出したことを示しています。

LinkedInはゼロからの立ち上げを担当しました。 開設から9ヶ月でインプレッションは約1.9倍に伸長。広告分を除いたクリック率は月次で4〜12%台のレンジで推移し、職種別の訴求検証を通じて反応の高い読者層を特定しました。

関与した領域

制作の支援にとどまらず、戦略設計からデータ分析までを一貫して担当しました。

  • ペルソナ策定:ターゲットとなるエンドユーザーのニーズ、価値観、行動パターンを分析し、最適なアプローチを見極めます。
  • エンドユーザーに関する仮説立案:ユーザーが抱える課題と求める解決策をGain / Painの両面から構造化し、検証可能な仮説として整理します。
  • 訴求メッセージの策定:ユーザーがサービスに求めるものに訴求するメッセージを設計します。
  • ハッシュタグ・キーワード設計:訴求軸に沿ったキーワードを投稿件数の実測に基づいて選定します。
  • 制作ディレクション:一貫したブランドメッセージのもと、全チャネルのコンテンツを統一します。
  • ライティング:ユーザーが思わず「いいね」や保存をしたくなる、訴求力のある文章を作成します。
  • レポーティング:施策開始後のデータを投稿単位で分析し、次に繋がる戦略的インサイトを提供します。

よくある質問

SNS運用で公式サイトへの送客率はどれくらい改善できますか?

この事例では、ストーリーズ経由の送客率が17ヶ月で2.0%から5.8%へ、約2.9倍に改善しました。改善幅は開始時点の状態と業種によって変わりますが、送客率を明示的にKPIとして設定し、投稿単位で検証するサイクルを回すことが前提条件になります。

フォロワーを増やすことと、サイトへの送客を増やすことは同じですか?

同じではありません。この事例ではフォロワー数の伸びが17ヶ月で約1.2倍だったのに対し、送客率は約2.9倍に改善しています。フォロワー数が横ばいの月でも送客率が改善した月があり、両者は別の指標として管理する必要があります。

投稿本数を増やさずに成果を出すことはできますか?

できます。この事例では月間のフィード投稿本数を25%削減しながら、1投稿あたりの平均リーチを維持しました。投稿量を増やすのではなく、ターゲットの動機に沿ったコンテンツ配分を月次で調整することで成果につなげています。

BtoB向けのLinkedIn運用は、Instagramと何が違いますか?

読者層が職種で分かれている点が最大の違いです。この事例では、月ごとにターゲット職種を変えて投稿し、クリック率で反応の高いセグメントを特定する検証設計を採用しました。Instagramのようなライフスタイル軸ではなく、職種軸で訴求を組み立てます。

SNS支援の成果はどのくらいの期間で出ますか?

この事例では、保存率は支援開始から4ヶ月で連続改善を確認できました。一方で送客率が安定して高い水準に乗るまでには1年以上を要しています。単月の数値ではなく、複数月のトレンドで評価することを推奨しています。

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